ヒーリングアート

4年くらい前まで、サンフランシスコの隣街、
オークランドに住んでいました。

オークランドは、ブラックカルチャーが
メインの街です。

hiphop art hiphop3

だから、アートと言えばヒップホップアート。

ヒップホップアートと言えば、
音楽だったらラップやD.J.。

ビジュアル系だったらグラフィティーや
ミューラルアートと呼ばれる壁画。

ダンスだったらヒップホップやブレイクダンス。
ほとんどがストリートから生まれたもの。

hip hop art1dance

アメリカには、とてつもなく大きな傷が
二つあって、

ひとつは、アメリカという土地に
もともと住んでいたネイティブアメリカンたちの
ほとんどすべてを奪い去ってしまったこと。

もうひとつは、気の遠くなるほど遠い
アフリカ大陸から人々を奪い、連れ去り、
アメリカまで連れてきて、奴隷という役割を
押し付けたこと。

roots native american

この二つの傷は、いつも大きく口を開けていて、
時々、猛威をふるって人々を脅かします。

去年の夏は、特にその傷が大きく口を開けて、
続けざまに、警察官に黒人男性が射殺される
という事件が起こり、

そのすぐ後、報復としてスナイパーで黒人男性が、
警察官を5人射殺するという事件が起こりました。

is his life?

奴隷制度が禁止されてから150年経った今も、
暴力と支配から始まっている闇のループは
とどまることを知らず、

その傷は大きく口を開けたまま、
さらなる暴力を呼び、複雑に絡み合い、

決して癒やされることのない怪獣のように、
様々な事件を起こし続けています。

beauty

オークランドも、そんな事件が
頻繁に起こる場所のひとつです。

でも、オークランドには、貧困も暴力も犯罪も
あり余るほど存在するけれど、

一生懸命に自分たちの住んでいる街を
良くしていこうと活動を続ける勇気ある人たちが
たくさん住んでいます。

not guns

オークランドに住んでいる間、そういう人たちに
たくさん出会いました。

その中のひとつに、ウエストオークランドの
アティテューディナル・ヒーリング・センター(AHC)
という、スピリチュアルな教えをもとにした
ヒーリングセンターがあります。

AHCは世界中にブランチがあって
(日本にもあります)、
アメリカ国内だけでも何十箇所にわたって
センターがあるのですが、

オークランドのAHCは、当時、私が住んでいた頃の
所長さんが、アフリカのガーナ出身のココモンという
笑顔のやさしいおじさんでした。

kokomon

私の家と目と鼻の先だったので、
一年間役員をやりながら、イベントを手伝ったり、
参加したりしました。

 

アティテューディナル・ヒーリングには、
12の原則というのがあります。

原則の1番目は、
“私たちの存在のエッセンスは愛以外の何ものでもない”

というものなのですが、

オークランドのAHCでは、それを言葉で伝える以外に、
たとえばアフリカのドラムを使うのです。

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毎週金曜日に1時間、みんなで輪になって、
マインドフルにドラムを叩く。

ココモンがリズムをリードして、
みんながそれに続いていく。

でもそのうちに、まるでみんなの鼓動が
共鳴していくように、リズムがピッタリと
一致していきます。

*drumming

そんな時は必ず、なんとも言えない一体感、
深く静かな感動を体験します。

自然とみんながお互いのエッセンスを
感じあっているような体験です。

“愛以外の何ものでもない”

というのが言葉を超えたところで、
細胞の隅々で感じらるのです。

drum-ahc

 

そのほかに、“ArtEsteem”という、
アートを通して自分を癒そう、
自分をエンパワメントしよう、
というプロジェクトがあって、

ウエストオークランドの子供たちが、
“自分の中のヒーロー”というテーマに沿って、
自分のポートレイトを大きなキャンバスに
描くのです。

art7 art2

 

ウエストオークランドは、
オークランドの中でも貧困に苦しむ
家庭が多い地域です。

その分、犯罪も多く、親が行方不明
だったり、刑務所に入っていたり、
麻薬常習犯だったり、生活のために
売春をしていたり…

そういう厳しい状況が、決して珍しくありません。

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そういう日常の中で過ごす子どもたちは、
なかなか自尊心(Self-Esteem)を
育むことが難しいのです。

でも、ArtEsteemのプログラムを通して、
自分と向き合いながら、大きなキャンバスに
向かうことによって、自分の中にヒーローを
見つけ出していく。

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自分をさらけ出すまで、なかなか
ヒーローは出てきてくれない。

痛みや恐れ、隠していた自分を吐き出しながら、
その奥にいたヒーローがやっと顔を出す。

それを仲間の友達と共有することによって、
お互いを深くわかりあう。

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そして、誰もがヒーローなんだという、
強く、やさしい心が少しずつ育くまれていく…。

 

アートを通した癒しは、
とても力強いものがあります。

子供たちの描いたヒーロたちに、
私もどれだけ癒され、エンパワーされたか
わかりません。

AHC2

オークランドから生まれ続ける
癒しのアート。

こういう存在がいてくれるから、
希望はちゃんと続いていく。

AHC1

大きな口をパックリ開けた怪獣も、
きっといつか口を閉じていく。

エンパワーされながら、
今日も癒しを文化に!

 

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