癒しをまっとうした大リーガー

ー2012年に書いたメルマガより♪ー

私は、あまり大リーグの野球は
興味がないので
(日本の高校野球は大好き!)、

今まで、ほとんど
気にしたこともなかったのですが、



今年は、すごーく楽しみにしていて、
試合前から、
ちゃーんとピザとビールを用意して(笑)、

カウチにしっかり座って、
最初から最後まで、

初めてオールスターゲームをみました!

なぜ、そんなにみたかったのかというと、

今年は、ニューヨーク•メッツのチームに所属する、

R.A ディッキー投手が選ばれたからです。




ディッキー投手は、大リーグでただ一人、

ナックルボールを投げるピッチャー、37歳です。


野球選手、特にピッチャーにしては、
結構高齢です。

でも、今シーズン、彼の成績は
12勝一敗という、
ありえない数字を出しています。





ナックルボールというのは、

目の前までまっすぐに飛んで来て、

でも、打とうとすると、いきなりスーッと方向を変えてしまう。



「ナックルボールを打とうとすることは、

チョウチョをバットで打とうとするようなもの」

…

そんな風に言われています。

普通、大リーグレベルのピッチャーだったら

スピードで勝負。



今、大リーグでナックルボールを投げる投手が

唯一彼一人のように、

ほとんどの投手は、
ナックルボールなんて
投げようとしません。







ディッキー投手も、以前はそうでした。

「スピードで勝負」のピッチャーでした。




けれど、スピードだけでは、
彼は大リーグの選手として、

やっていけなかったのです。

実際、彼は大リーグで投手になる前の
数年間、
マイナーリーグで投げていました。



やっと大リーグに昇格しても、

アップダウンの連続。



「まあまあ」という枠を
超えることがでず、



次々と、前途有望な若い選手は入ってきて、

このままでは、それほど遠くない未来に、

メジャーチームから外されることは確実でした。

そこで、彼はナックルボール•ピッチャーに
なることを
決心したのです。

大きなジャンプです。

ここでちょっと、彼の幼少時代にさかのぼります。


ディッキー投手の幼少時代は、
決して
幸せなものではありませんでした。



母親はアルコール依存症、
父親は、そんな母親を捨て、
ディッキーをおいて、
家から去っていきます。





さらに、8歳から17歳までの間に、

彼は性的虐待を受け続けます。

家に帰りたくなくて、学校の図書館においてある
新聞を見て、
空き家の情報を探しては、
こっそり空き家で眠る。
そんなことを繰り返す毎日でした。





そんな彼にとって、スポーツは、唯一
彼が
夢中になれるものでした。




忘れたいことを、忘れられるサンクチュアリ。

そんな大切な存在でした。

そんな彼だからこそ、簡単にはあきらめられない。

ずっと投げ続けていたい…。


そんな強い思いがあったに違いありません。



ナックルボール投手になっても、

成功するかどうかはまったくわからない。



でも、彼はリスクを承知の上、

ナックルボール投手へとジャンプをしたのです。

と同時に、彼はこの時期、
もうひとつ、ジャンプをします。


そのジャンプは、彼の生死に関わるジャンプでした。



ある日、遠征でオマハという街のホテルに
泊まっていた
ディッキーは、

「ちょっとした遊び心」で、川に飛び込んだのです。



遠征でよく来ていたオマハのホテルから、

彼はいつもホテルの前を流れている川を眺めていました。




ある日、ふと、「川向こうまで、泳いでみよう。」

そう思ったのです。

友人達が見ている中、彼は川に飛び込み、

泳ぎ始めます。




けれど、5分もしないうちに、彼は気づきます。

川の流れの速さが、思っていたよりも随分早いことに。




そして、顔を上げると、向こう岸まで行くよりも、

どんどん自分が下流へと流されていっていることに

気づきます。




恐怖が彼を襲います。
そこからは、
ひとかき、ひとかきが、
命をかけた動きになります。



あともう一息のところで、
疲労が彼を襲い始めます。

体が沈んでいく…。
水が口や鼻に入り込み、溺れながら,彼は覚悟を決め、

妻と子供達のことを思います。




ところが、その瞬間、深い川の底に、足が触れたのです。

足が地面を感じたとたん、彼の体全身にアドレナリンが
流れ出します。



彼はもう一度、生きる方向へと向かい始めます。

足は思い切り川底を蹴り、上へ向かって泳ぎ始めます。



水面に向かってもう一息、
腕をのばしたとき、
彼が流されていった方向へ、
陸の上からつ
いて来てくれていた友人が、
彼の手をひっぱりあげます。

彼は、一命を取り留めました。




そして、彼の生き方は、その日から、

まったく変わってしまうのです。




「生きている今、この瞬間、瞬間が、愛しくて、
大切でたまらない」


彼は、そんな風に感じるようになります。



そして、彼の癒しのプロセスが始まります。

彼がずっともち続けていた、

誰にも打ち明けることができなかった、
隠し続けていた「闇」。


「その闇を打ち明けたら、愛する人は去ってしまう」
という恐怖。



多くの場合、自分の一番親密なカラダの領域を
侵害されたとき、
特に子供の頃にそのような体験をした場合、


自分がどこかおかしい、自分が悪い、
そういう思いを
人々は持ち続けてしまします。




ディッキーもそうでした。
けれど、彼はその恐怖よりも、癒しを選び始めます。


”本当の自分で生きること”を、選び始めます。

彼は、23年間もの長い間、誰にも言えなかった、

隠し続けていた「闇」を、愛する妻に打ち明けます。


そして、その闇を打ち明けても、
彼女は去っていきませんでした。




彼は気づきます。
今まで、本当の自分で100%、
生きてこなかったこと。



一番愛する妻の前でさえ、自分ではない
他の誰かを演じていたこと。


本当は、誰も信頼していなかったこと。



そして、これからは、本当の自分で生きることの嬉しさ。


そういう自分で育んでいくリレーションシップの大切さ。

すべてが変わり始めます。

そして、この頃から、彼の投球の仕方が、

まったく変わっていくのです。




一球一球が、彼の人生の一瞬,一瞬のように、

大切でたまらない。


この一球が、今の自分のすべて。


そんな風に、球を投げるようになるのです。



そんな投球をするようになってから、

彼の成績は、どんどんあがっていきます。



2010年、2011年、どんどん成績を上げ、

今年、2012年には、ありえない結果を出し続けています。



高年齢で、ナックル投手。
そして、大リーグで最高の
ピーッチャー、
R.A. ディッキーの誕生です。




今、彼はキラキラです。

野球ファンではない私ですが、

癒しを全うしたディッキー投手の活躍は、

ついつい追ってしまいます。




そういうわけで、今年のオールスターゲームは、

はりきって観ちゃいました。




癒しは人の人生を変えます。




「すべての人々の日常へ癒しを」




今日もこのスローガンでがんばります=3

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